
2027年度共通テスト「歴史総合、日本史探究」で高得点を取るために
残り4か月をどう使うべきか
今回は、2027年度大学入学共通テスト「歴史総合、日本史探究」で高得点を取るために、残り4か月をどう使えばよいのかについてお話しします。
そのためにまず、前回、2026年度の共通テスト「歴史総合、日本史探究」を分析し、そこから見えてくる対策法を紹介していきます。
最初に、一番伝えたいことを言います。
日本史の基礎知識に不安がある受験生が共通テスト日本史の対策を12月から始めるのは、かなり危険です。
共通テスト独特の問題に慣れる時間が取れないからです。
もちろん、共通テストレベルの知識が完成していて、共通テストの問題形式に慣れている受験生であれば、12月から本格的に対策を始めても間に合うかもしれません。
その場合は、共通テスト独特の問題形式への最終調整をすればよいからです。
知識が不足している受験生でも、昔のセンター試験であれば、12月からでも知識を詰め込むことによって、ある程度戦うことができました。
12月になってから一問一答を大量に回す。
冬休みに教科書や参考書を一気に覚える。
直前に年号や文化史を詰め込む。
こうした勉強でも点数を伸ばしやすい試験がセンター試験でした。
しかし、現在の共通テストは違います。
前回の2026年度共通テストを見ると、その違いが非常にはっきりしています。
- センター試験と共通テストでは、同じ日本史でも戦い方が違う
- 前回の共通テストでは「資料を読み取る力」が非常に重要だった
- 共通テストで必要なのは4つの力
- では、あと4か月をどう使うのか
- 間違えた問題を4種類に分ける
- 12月は「始める月」ではなく「仕上げる月」
- 共通テストは「時間との戦い」でもある
- おすすめは「問題を先に見る」こと
- 一問一答だけで安心してはいけない
- 細かすぎる知識より「基本知識の使い方」を優先する
- 日本史の勉強に1日90分使えるなら
- 過去問は、点数を見るためだけのものではない
- 10月に60点でも、本番ではまだ大きく伸ばせる
- センター試験型の勉強をしているなら、今から切り替える
- 最後に、2027年度共通テストを受験する皆さんへ
センター試験と共通テストでは、同じ日本史でも戦い方が違う
センター試験の日本史では、「知っているか、知らないか」で解ける問題がかなり多くありました。
もちろん史料問題などもありましたが、用語、年代、人物と出来事の組み合わせをしっかり覚えれば、直前期からでも点数を上げやすい試験でした。
ところが共通テストでは、知識を覚えていることがゴールではありません。
覚えた知識を、資料の中で使うことが求められます。
史料、グラフ、地図、写真、絵画、風刺漫画、会話文、表などを読み、その内容と自分の日本史知識を結びつけて判断しなければなりません。
前回の2026年度共通テスト第1問では、災害をテーマとして、マラリア、飢饉、チェルノービリ原子力発電所事故、関東大震災などが資料とともに出題されています。
つまり、今の共通テストは、 「覚えれば解ける日本史」から「覚えた知識を使って考える日本史」へ変化している と考えることが重要です。
前回の共通テストでは「資料を読み取る力」が非常に重要だった
例えば第3問では、『伴大納言絵巻』の一場面と『日本三代実録』の記事を組み合わせて、応天門の変について考えさせています。
単純に「応天門の変=伴善男」と覚えているだけでは足りません。
絵の人物の装備を見て、検非違使の知識を使い、事件の経過を表から読み取る必要があります。
さらに、史料がいつ成立したのか、そこからどこまで事実として判断できるのかという、史料そのものを見る視点まで求められています。
同じ大問では、『古事記』『日本書紀』が編纂された背景や、絵画資料から庶民の日常生活を読み取れるかという問題まで出されています。
ここから分かるのは、問題集で見たことのない資料が出てくることを前提に勉強しなければならないということです。
あらかじめ資料そのものを暗記しておくという勉強法には限界があります。
共通テストで必要なのは4つの力
前回の2026年度共通テストを分析すると、高得点を取るために必要な力は、大きく4つに分けることができます。
1つ目 基礎知識
当然ですが、まず必要なのは基礎知識です。
共通テストが思考力重視だからといって、暗記が必要ないわけではありません。
むしろ、知識がなければ資料を正しく読むことができません。
前回の問題でも、地頭、検非違使、北条政子、日野富子、桃山文化、55年体制、PKO協力法、湾岸戦争、軍部大臣現役武官制などが登場します。
例えば第6問では、1990年代の国際貢献について、PKO協力法成立の背景と湾岸戦争後の状況などを結びつけて考えさせています。
ですから、一問一答も必要です。
教科書も必要です。
用語暗記も必要です。
しかし、それだけでは足りないということです。
2つ目 資料を必要なところだけ読む力
共通テストで時間が足りなくなる受験生には、資料を最初から最後まで全部丁寧に読んでしまう人が多くいます。
しかし重要なのは、何を聞かれているのかを確認してから資料を見ることです。
前回の第5問では、城下町の概念図を使い、河川、街道、堀、武家地、町人地などの位置関係から正しい記述を選ばせています。
ここで必要なのは、図を最初からじっくり眺めることではありません。
選択肢を見て、「街道を見るのか」「河川を見るのか」「居住区分を見るのか」を判断することです。
これは暗記力だけではなく、問題を処理する技術です。
そして、この技術は12月から突然身につくものではありません。
何度も同じような問題を解いて、技術を磨いていく必要があります。
3つ目 時代を縦につなげる力
一問一答を中心に勉強していると、縄文、弥生、古墳、奈良、平安というように、どうしても時代ごとに知識を分けて覚えがちです。
ところが共通テストでは、一つのテーマを時代をまたいで出題することがあります。
前回の第2問は、その典型です。
テーマは「日本の漁業」で、江戸時代の地引網漁から始まり、弥生時代の土錘、鎌倉時代の荘園における漁業、江戸時代の商品流通へと時代を横断しています。
つまり、「縄文時代だけ」「鎌倉時代だけ」と覚えるのではなく、同じテーマが時代によってどう変化したのかを見る力が必要なのです。
4つ目 選択肢を根拠をもって切る力
共通テストで安定して高得点を取るには、「これが正解っぽい」という感覚だけで選んではいけません。
大切なのは、他の選択肢のどこが間違っているのかを説明できることです。
前回の第6問には、満州事変、二・二六事件後、1941年の対米開戦直前という出来事を年代順に並べる問題があります。
ここでは単に年号を覚えるだけでなく、「この出来事のあとに何が起きたのか」という流れを理解している必要があります。
だから日本史を覚えるときには、一つ一つの単語を点で覚えるのではなく、原因、出来事、結果をセットで覚えることが重要です。
では、あと4か月をどう使うのか
ここからが今回、一番重要な部分です。
残り4か月を、9月後半から10月、11月、12月、そして直前期という形に分けて考えてみましょう。
9月後半から10月は「日本史の骨格」を完成させる
今の時期に最優先でやることは、細かい用語を完璧にすることではありません。
まず、原始・古代、中世、近世、近代、現代の大きな流れを完成させてください。
特に、政治史、外交史、社会経済史、文化史を完全に別々に覚えないことが重要です。
例えば「寛政の改革=松平定信」と覚えて終わるのではありません。
その前に田沼意次の政治があり、天明の飢饉があり、幕府財政の問題があったという流れまでつなげて覚えます。
「なぜ起こったのか」「その後どうなったのか」まで考えながら覚える。
これ自体が、共通テスト対策になります。
10月から、共通テスト型問題を始める
ここは非常に重要です。
日本史の全範囲が終わってから、共通テスト対策を始めようと考えないでください。
今から共通テスト形式の問題に触れてください。
最初は週1回でも構いませんし、点数も気にしなくて構いません。
50点でも60点でも70点でもよいのです。
この時期の目的は、共通テストという試験そのものに慣れることです。
日本史の知識を入れながら、同時に問題形式にも慣れる。
この2本立てで進めることが重要です。
11月は、資料問題を種類別に攻略する
11月に入ったら、ただ過去問を解くだけではなく、
- 史料問題
- グラフ問題
- 地図問題
- 写真・絵画問題
- 年代整序問題
- 正誤判定問題
という形で分類してみてください。
前回の2026年度共通テストでは、関東大震災への各国の支援額を示したグラフを読み、さらに当時の排日的な動きなどの歴史知識と結びつける問題も出題されています。
これこそ共通テスト型です。
知識だけでも解けない。資料だけでも解けない。その両方を組み合わせる必要があります。
間違えた問題を4種類に分ける
ここはぜひ実践してください。
問題を間違えたときに、ただ「×」を付けて終わるのは非常にもったいないです。
- 知識不足
- 資料の読み落とし
- 時系列の理解不足
- 選択肢の読み間違い
この4つに分けてください。
例えば、PKO協力法について知らなかったなら知識不足。
グラフを逆に読んだなら資料読解の間違い。
満州事変と二・二六事件の順番を間違えたなら時系列の理解不足です。
そして、「のみ」「初めて」「すべて」といった言葉を見落としたなら、選択肢の読み違いです。
これを続けると、自分がなぜ点を失っているのかが見えるようになります。
これは点数を伸ばすうえで非常に重要です。
12月は「始める月」ではなく「仕上げる月」
ここがセンター試験時代との大きな違いです。
センター試験なら、12月から日本史を本格的に始める受験生もいました。
しかし共通テストでは、12月は共通テスト対策を始める月ではなく、仕上げる月です。
12月の段階では、基礎知識、資料読解、正誤判断、時間配分にある程度慣れている状態を目指してください。
そして12月からは、本番と同じ時間を計り、1年分を通して解く練習を増やしていきます。
共通テストは「時間との戦い」でもある
前回の2026年度共通テストを見ても、文章量はかなりあります。
会話文、ノート、表、史料、グラフ、絵画、風刺漫画、概念図などが次々に登場します。
第6問だけでも、1950年代の風刺漫画、国際貢献、年代整序、『原敬日記』など、異なる形式の問題が続きます。
だから、「時間をかければ解ける」という状況では十分ではありません。
短時間で正確に解けるところまで持っていく必要があります。
おすすめは「問題を先に見る」こと
長い史料が出てきたとき、いきなり1行目から全部読む必要はありません。
① まず何を聞かれているのかを見る。
② 次に選択肢を見る。
③ そして必要な部分を資料から探す。
この流れを練習してください。
「グラフから読み取れること」と聞かれているなら、まずグラフを見る。
「背景として正しいもの」と聞かれているなら、歴史知識も必要になります。
何を問われているかによって資料の読み方を変える。
これだけでも、時間の使い方は大きく変わります。
一問一答だけで安心してはいけない
日本史が得意な人ほど注意してください。
一問一答を何周もして、ほとんど答えられるようになると、「日本史は仕上がった」と感じてしまいます。
しかし前回の共通テストでは、日野富子についての史料を読ませ、従来の評価と現在の研究上の評価の違いまで踏まえて考えさせる問題がありました。
「日野富子=足利義政の妻」という知識だけでは足りません。
資料を読み、与えられた情報を整理し、自分の知識と結びつけて正誤を判断する必要があります。
細かすぎる知識より「基本知識の使い方」を優先する
あと4か月しかないと思うと、難しい用語集を始めたり、細かい人物名や難関私大レベルの知識に手を出したくなるかもしれません。
もちろん、私立大学対策として必要になることはあります。
しかし、共通テストで高得点を取るという目的なら、優先順位は違います。
まずは教科書レベルの重要事項を正確に覚え、因果関係を含めて使える状態にしてください。
新しい用語を100個増やすより、すでに知っている100個の用語について、
「なぜ起こったのか」「その後どうなったのか」まで説明できる方が、共通テストには強い
と考えてください。
日本史の勉強に1日90分使えるなら
例えば、日本史に1日90分使えるなら、
- 40分……基礎知識
- 20分……時代の流れや因果関係の整理
- 30分……共通テスト型問題
という使い方がおすすめです。
まだ通史がかなり残っている人は、最初の1か月だけ知識の時間を増やしても構いません。
ただし、共通テスト型問題を完全に12月まで後回しにするのは避けてください。
過去問は、点数を見るためだけのものではない
今の時期に2026年度共通テストを解いて、55点だった、60点だったとしても、それだけで落ち込む必要はありません。
今大切なのは点数ではなく、なぜその点数になったのかを知ることです。
知識不足だったのか。
時間が足りなかったのか。
史料を読み違えたのか。
選択肢を勘違いしたのか。
原因が分かれば、あと4か月で修正できます。
逆に70点や80点を取っても、答え合わせだけして終わるのであれば、それほど大きな成長にはつながりません。
10月に60点でも、本番ではまだ大きく伸ばせる
今、まだ日本史が完成していない人もいるでしょう。
過去問を解いても、思ったような点数が取れない人もいると思います。
しかし、あと4か月あります。
およそ120日です。
1日1時間なら約120時間。
1日2時間なら約240時間あります。
日本史は、4か月でもかなり変わります。
ただし条件があります。
12月まで待たないことです。
センター試験型の勉強をしているなら、今から切り替える
繰り返しになりますが、センター試験時代には、
12月から大量暗記をする。
年末年始に一問一答を何周もする。
直前に文化史や年号を詰め込む。
こうした方法でも、ある程度戦うことができました。
しかし現在の共通テストでは、
- 覚えた知識を史料に当てはめる
- グラフと照合する
- 時系列を整理する
- 選択肢の誤りを見つける
こうした作業が必要です。
つまり必要なのは、「日本史の知識」と「共通テストの解き方」の両方です。
知識は短期間でも増やせます。
しかし、初めて見る資料を短時間で処理する力は、ある程度の練習期間が必要です。
だから、今から始めてください。
最後に、2027年度共通テストを受験する皆さんへ
2027年度共通テスト本番で問題冊子を開けば、おそらく見たことのない史料が出てきます。
見たことのないグラフや、知らない文章も出てくるでしょう。
でも、それでいいのです。
共通テストは、見たことのある資料を覚えていく試験ではありません。
初めて見る資料に対して、これまで勉強してきた日本史の知識を使い、その場で判断する試験です。
だから本番で知らない資料を見ても、「こんなの知らない」と慌てないでください。
大切なのは、
「この資料は知らない。でも、自分が持っている知識を使えば解ける」
という感覚を持てることです。
その状態を作るには、今から何度も初見資料に触れておく必要があります。
センター試験なら、12月からの詰め込みでも戦えたかもしれません。
しかし共通テストは、12月から覚え込む試験ではなく、12月までに解き方を身につけておく試験です。
残り4か月、まだ間に合います。
ただし、始めるなら今です。
日本史の知識を増やす。
そして、その知識を資料の中で使う練習をする。
この二つを今日から並行してください。
4か月後、問題冊子を開いたときに、「資料ばかりで難しい」と感じる側になるのか。
それとも、「この形式は何度も練習してきた」と思える側になるのか。
その差は、これからの4か月で大きく変わります。

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