4月19日に全国学力テストが実施されますね。今年は理科が追加されるようです。全国学力テストは毎年行われていますが、どんな目的のものなのか考えたことがありますか?
全国学力テストとは
全国学力テストとは文部科学省の定義において以下のようになっている。
調査の目的
●義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
●学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
●そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
参考:
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/1344101.htm
簡単に言うとこのテストの結果を通じてより良い教育に改善するというものである。
調査対象の学生と全国学力テストの科目・新しく追加する科目
調査の対象となるのは、小学校第6学年、中学校第3学年の生徒である。例年の調査対象の科目は小学生は国語と算数、中学生は国語と数学であるが、今年の全国学力テストでは理科が調査科目に追加された。理科は3年に一度程度の実施とされ、今年は実施される年となった。他に、『平成31年度(令和元年度)から英語を追加。英語は3年に1度程度の実施』となっているので、別の年に英語が追加される年もあるとのことである。
全国学力テストのメリット・デメリット
全国学力テストは2007年から始まった。その当時は「ゆとり教育」のために学力が低下していると言われ、それを回復するために設けられたと考えられる。自治体や学校間での競争を促すことで学力の向上を図る狙いから、対象学年の全員に実施することになった。自治体や学校の平均点が、その自治体、学校の教師または学校の質を示していると考えられるようになったため、学校側は必死の対応をするようになった。現場レベルの教育改革の動機づけになったことは事実であろう。成績が相対的に低い地域で改善が進み、都道府県間の成績差はある程度縮小したということである。
ところが、日経新聞では次の問題点が浮上したとしている。以下に引用しよう。
『コロナ禍で弱点が浮かび上がった。学力の経年変化をつかめないという構造的欠陥だ。異なる時点間の学力の変化を調べるには毎年の問題の難易度をそろえる工夫が要る。統計技術上の理由で、それには抽出調査が適している。だが、一部の学校や児童生徒が対象だと競争が起きない。国が求める学力の姿を知らせるにも全員調査の方がいい。「指導改善のためのテスト」と「学力の実態を正確に把握するための調査」は両立しないのだ。』(4月10日 日経新聞朝刊より)
つまり、「学力の実態を正確に把握するための調査」では一部の生徒に対する抽出調査が適切であり、「指導改善のためのテスト」では全員調査が適切であるということから、それが物理的には同時にできないので、全国学力テストは課題を残したものであるということだ。
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